路上ライブの思い出

実は路上ライブを何度かやったことがある。一人でアコギを持って中央線荻窪駅北口の出たところでとバスロータリーから醤油ラーメンで有名な春木屋に行く手前の青梅街道沿いの金物屋の前で唄ったことがある。あとギターを弾く奴と二人で阿佐ヶ谷駅北口を出たアーケード商店街の入口の辺りでも唄ったりした。

初めて路上ライブをやったのは春木屋手前の金物屋の前で、いきなり駅前の人通りの多いところで唄う勇気がなく多少ずれたところで唄ったのだった。知り合いばかりがいる箱物の中で唄うのとは違って、まったく知らない通行人に唄いかけるのだからもの凄いエネルギーが必要で、緊張しまくった思い出がある。

しかしながら夜空に向かって唄うのは恐ろしく気持ちが良くて、自分の足が大地を踏みしめていることを実感したのだった。

当然何人かの通行人が目の前を行き来するだけだったのだが、若いお母さんに連れられた赤ちゃんが不思議そうな顔をして立ち止まり、私の真似をして”モグラ~、モグラ~、モグラ~!”と一緒に唄ってくれたのがその時の唯一の救いだった。しばらくしてそのお母さんが”行こう。”と言って手を引っ張って赤ちゃんは向こうへ行ってしまった。

後日夕方、次はもっと人通りのあるところで唄うぞと勇気を振り絞り荻窪駅北口出たバスロータリーでバスに並ぶ人たちでごった返している前で唄ったのだった。恥ずかしいもクソも無いど緊張で心臓バクバク状態、バスを待っている帰宅を急ぐサラリーマンやOLから女子高生まで、なんだこの人は?という怪訝な顔されるにも関わらず唄ってやった。どこからか来たおばさんがギターケースの上に500円玉1枚を置いて行ってくれた。

大きなオルゴールを回しながら物乞いをするその当時いつも荻窪駅北口にいた乞食の外国人がライバルとして現れ、”〇△×◇□!◇〇〇×△!”と何かクレームをつけてきた、どうやらここはオレの縄張りだと言いたいらしい。もう緊張しまくって疲れてしまっていたのでその夜はそのままスゴスゴと帰って来た。

1人で路上ライブをやったのはその2回だけで、あと1回はギターを弾く人間に誘われて阿佐ヶ谷駅北口のアーケード商店街前で二人でギターを弾きながら唄った。二人だと一人に比べて全然緊張感が違って、気軽な感じだった。失敗したのはその日実は阿佐ヶ谷ジャズフェスティバルの日で、二人が唄った場所は正規のジャズフェスティバルの出演場所で管楽器を持った人たちが途中からぞろぞろ現れて来て、なんでこのわけわからない二人がここで唄っているのだろうとクレームが来て、チェッ、それなら退けてやるわ!と退散してきたのだった。(笑)

その当時まだそんな阿佐ヶ谷ジャズフェスティバルに人が集まるものでもなかったので今となっては笑い話なのだが、今こんなことをやれば結構ヒンシュクをかっただろうなと思う。

このように私は路上ライブもやったりする人間なのだ。(笑)ただ、今住んでる街の駅前でもやってみようかなと思ったことは何度もあるのだがここ10年以上どうも思いとどまってしまった。理由はご近所さんに聴かれるとなんて応えればいいのか困ってしまうのである。やはり路上ライブは自分の住んでる街とは違う駅前でやるべきだ。顔が割れてしまうと、あそこのおじさん駅であんな変な唄うたってると近所の子供たちに言われしまいそうで怖い。そんなこと思うわりにこのブログでおおっぴろげに自分のこと書いて世界中に公開しているのだが・・・。

なんでこんなことを書いたかというと、実は吉祥寺の井の頭公園で唄うことになった。土曜日はピアノ室に練習にいったりする日があるので、それ以外の日か日曜日唄おうと思っている。上に書いたゲリラ的なライブにはならないのだが、久しぶりの屋外ライブだ。おいしい空気の中で気持ちよく唄いたい。またその時が来たらレポートしようと思う。乞うご期待。音楽配信

ボクはモグラ

”ボクはモグラ”ギターバージョン

GW中あまり音楽と関係のない話が続いたので、今回も自分のオリジナルソングの紹介をしたいと思います。今回は私の代名詞のように言われている「ボクはモグラ」という曲を取り上げます。

”YUKIO”と呼ばれずに”モグラさん”と言われるくらいに若い頃からもう何度も唄っている唄です。実は私の中ではもう飽きちゃってます。しかし、それだけ気に入ってくれるなら死ぬまで唄ちゃおうじゃないですか。この曲を避けてた時期もありますが、最近はウケを狙うために必ずやるようにしてます。だって他人(ひと)に喜んでもらってなんぼのものですもの。

「ボクはモグラ」を聴いたことのない人には最初にこの曲の特徴を伝えておかなければなりません。”モグラ、モグラ~”を死ぬほど連呼する唄で、数えたことはないのですが相当数繰り返してます。昔の円(まどか)広志の”飛んで、飛んで~”という唄と同じようなものです。真似(まね)をしたわけではないのですけど・・・そう聞こえて来たんですね頭の中に。

それだけ”モグラ”を繰り返すので、ライブでこの曲を聴いた人からは”モグラ”という言葉が頭にこびりついて離れなくなるとよく言われます。私の代表曲の一つといっていい唄なのですけど、今回この唄を紹介するにあたって歌詞の内容とか差しさわりのないことを述べてもいつも通りで面白くないので、今回なるべくわかりやすく音楽的にこの曲がどのようにつくってあるのかを説明したいと思います。

実はこの曲にはギターとピアノのバージョン二つあって、作品に入れているのはギターの方なのですね。そしてアレンジが微妙に違ってます。基本はどちらもブルース調です。(※ブルース調とはド、ミ、ソ、シ♭の上にミ♭が上をよぎるスケールだと思っています。ダイアトニック上、ピアノでいう白鍵だけの音だとスケール音の”ミ”とそうじゃない”ミ♭”がぶつかってしまい昔の古典クラシックではご法度(はっと)の音ですが現在では巷(ちまた)にいくらでもありふれている手法と私は解釈しています。)

ギターは間奏をハーモニカで吹いて、ピアノはそのままピアノでソロをとってます。一番印象的な”モグラ、モグラ~”を連呼する部分は和音でいうC7(ド、ミ、ソ、シ♭)でずっと和音が変わらないという私独特の癖なのですが、それよりも一番苦労したのが唄の最初の循環する和音の部分です。

ここからはそれなりに音楽を勉強してる人しかわからないと思いますが、わからなくていいんです。音楽はわかる、わからないかじゃなく、好きか、嫌いかだけなのですから。とりあえず解説すると、

C7→Am(ラ、ド、ミ)と来るのですが、次フォークソングであればメロディーとの関係でG7(ソ、シ、レ、ファ)と普通来るのでしょうけどD7(レ、ファ♯、ラ、ド)に行き、最後またc7に戻ります。C7→Am→D7→C7を4回くりかえして延々C7という大胆な展開。どうだ!こんな和音進行、どこにも見たことないだろう。馬鹿にしてください。私こんな曲しかつくれないんです。

そして最初の”ボクはモグラ~”とはじまるメロディー、特に”ボクは”のところの音が鍵盤上に無くてピアノバージョンをつくる時には工夫しました。どう工夫したかというと、ここのメロディーを唄おうとすると2つ旋律が出て来るのでどういうことなのだろうか?と私自身もわからなくて悩んだのですが、その2つを同時に鳴らしちゃいました。そうすると気持ちよく唄えるようになったのです。わけが分からないだろう~。

ギターバージョンの方がたぶんみなさん気に入ってくれてるようなのですが、ピアノの方がよりこの曲の特性を細かく表現していると思ってます。

楽器を勉強してる人しかわからなくて申し訳ないです。間奏部分は頭の循環コードと同じC7→Am→D7→C7なのですが、ギターバージョンのハーモニカではセカンドポジション(キーがCに対する4度上のF調整ハーモニカ)で吹いてただのブルース調になってます。しかしピアノだと実は最初のC7のところをミ♭を入れたCのブルーススケール、Am→D7のところはなんのスケールだろう?要はDのミクソリディアンスケール(レ、ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ、ド)で、終わりのC7のところはCのリディアン7thスケール(ド、レ、ミ、ファ♯、ソ、ラ、シ♭)と使い分けています。

この曲の最後部分C7→D7→E7→F7→G7→C7(もう面倒くさいので解説しませんが、、、)もダイアトニック(白鍵だけ)進行とは関係なくわけがわからないですが、転調しています。調がブルーススケールのまま転調してるのです。

「ボクはモグラ」を唄う時の私の頭の中をはじめて暴露(ばくろ)してしまいました。まるでストリッパーになった気分。音楽に詳しい人はこれを読んで笑ってください、馬鹿にしてください。けど、いつかあなた方の考え方の方が古いと気づくでしょう。音楽に詳しくない人は何を言ってるのかわからないと思いますが、申し訳ございません!とりあえず「ボクはモグラ」を聴いてみてもらえないですか。理屈はどうだっていいんです。唄がイカしてるかどうかだけです。気に入ってもらえれば最高です。


「ボクはモグラ」おもしろい曲でもありますが、実は前衛的な曲でもあるので、ぜひ聴いてみませんか。よろしくお願いします。音楽配信

”ボクはモグラ”ピアノバージョン