自分のホームページの変更に3月は時間をとられてしまったが、一区切りつけたので、最近はまた自分の音楽の制作の方に戻ってきた。年末から正月明けにかけて録音した、かつてのギター、ピアノ弾き語りでしか唄ってなかった作品の完成形の今は※2ミックスをしている。

※2ミックス・・・パート毎(ごと)の多数のトラック(マルチトラック音源)をL+Rのステレオ2チャンネルにミックスダウンすること。

30曲近くあって大変なのだが、若い頃からずっと頭の奥底でうごめいてきた得体の知れないものの最終形を目の当たりにしていると言うか、何年もかけて表現できなかったものを歳をとった今ようやく現実世界に形として残せるようになったと言おうか・・・、時間を超えた不思議な感覚がある。

二十歳(ハタチ)そこそこで曲を創った若かりし自分の姿がそこにあって、歌詞なども若いな・・・とも思うのだが、他人にどう思われようと今さら全然気にしない今の自分もいて、この曲たちを唄うために自分はこの世に生まれて来たと思っている。(笑)

今回の録音ではじめて高級録音マイクをレンタルして使ってみたのだが、その影響がミックスをしている今になってようやくわかって来た。前は音楽ソフトに入っているイコライザーやコンプレッサーなど音を装飾するエフェクター系プラグインを色々駆使してわかりもしない感じで使っていたと言おうか、使わざるを得なかったと言おうか、現在の流行歌のすべてがそうしたプラグインの重ねがけで出来上がっていると思うのだが、高級録音マイクで録った音源は、余りプラグインを必要としない。

と言うか、何のためにエフェクターがあるかと言うと、音の不足分を補(おぎな)うために使用するのが本来の目的であり、音そのものが良いと思えば別にエフェクターを使う必要がないのだ。そう思ってしまい、特に唄にかけるエフェクターなどは今回ほとんど使っていない。

プラグイン(エフェクター)を使わないと、音が細くなって古臭い感じになるのだが、もういい。(笑)時代に合わせるつもりももう無い。(笑)だってエフェクトを何もかけない素(す)の唄が一番気持ちよく聞こえるのだもの!

こんな感じになってしまい、今ミックスしている作品は音の質感が今までとはちょっと違って薄い感じになると思う。

正月明けにバックコーラスを入れた時もそうだった。幾重(いくえ)にも重ねて録ってみたのだが、よくよく聞いてみると必要が無い。ハモリがあると派手に聞こえるのだが、形があるだけで意味がない。必要があるところだけにした。

録音された自分の声をはじめて聞いた時を思い出して欲しい。”何!?この変な声?”と誰もが思う。けどそれが一番かけがえのない大切な自分の声なのだ。人生にすれて、自分の声が美声だと思っている歌手やミュージシャンもたくさんいる。しかし私とすれば声にいい声、悪い声など違いなど絶対に無いと思っている。そんなの世間が後から色々な理屈をつけて洗脳した、魅力的な声とはこう言うものだと決めつけた声でしかないはずだ。

この

”何!?この変な声?”

と思った自分の声を最大限に自分らしく相手に聞かせるために、最初リズムを作り、ベースを入れ、礎(いしずえ)を築いた後、鍵盤やギターをその上に乗せて、時間をかけて創り込んで行く。ただし必要ない音はいらない。

できるだけシンプルに。わかりやすく。聞く側に立って。

これが私の音楽制作における信条である。

自分の正直な心の叫びを声に乗せるのだ。

そうすると、”何!?この変な声?”も、魔法がかかったように”何だかいい感じ!?”に聞こえて来たりもするのだ。(笑)

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