ボクとハーモニカとハモニカ横丁

自分でオリジナルの唄をうたって30年くらい。趣味でうたっているわけではない。世間に相手にもされず黙々とよくやっているものだ。誰にも負けていないという信念が心の奥底にあるのだと思う。昔から自分の音楽で食べて行けず、

最後は路地裏でバッタリ倒れて死んでいく最後の光景が頭の中でよぎっていて、

その確率は今のところ99.9%だろうか。暗い話題になってしまった。(笑)

そんなバッタリ倒れて死んでいく路地裏というのは、きっとこんな所だと自分で想像しているのが東京吉祥寺のハモニカ横丁だ。ハモニカ横丁で栄養失調のままバッタリあおむけに倒れ夜空を見ながら死んでいくのである。私の周りに人がよって来て”なんだこのじいさん?死んでるのか?”とかヒソヒソ話が耳元から聞こえてきて、遠くでは高田渡(たかだわたる)がなにかうたっている、、、そうして気を失っていくのだ。

高田渡(たかだわたる)がなんでまだ生きてるんだ?

と言われそうだが、私の空想世界なのでこれでいいのだ。何と言われようが私の勝手だ。(笑)

それほどハモニカ横丁にはよく通った。最近はもう行かないが。赤提灯の「貴子」はまだやっているのだろうか?帰り際に手製のサンドイッチを持たせてくれた秋田出身の「貴子」のおかみさんは元気なのだろうか?日本酒が健康のもとと飲みながらのビートたけしばり毒舌トークはまだ健在なのだろうか?

ウエブで調べるとまだ「ささの葉」は営業しているようだ。高田渡と仲良かったおかみさんも癌で亡くなって、新しく引き継いだおじさんが営業しているお店に行ったのが最後だったような気がする。

古い店が無くなり新しいお店がどんどん出来てくる。しかし、ハモニカ横丁という名のとおりこの街にはどこか哀愁がある。

自分はギターの弾き語りをするのだが、実は間奏部分をハーモニカで吹いたりする。ギターが余り上手くないのでソロがとれず、その代わりにハーモニカを吹くという理由もあるのだが、ハーモニカの音色が好きだ。ギターやピアノと違って肉声に近いような気がする。くちびるの動きひとつで音が繊細にズレるのだ。

ハーモニカにも色々な種類があって使うのはブルースハープかあるいはステービーワンダーが使っているクロマチックハーモニカというのもある。ステービーの音色は郷愁というよりはどこか明るい。

私も1曲だけ”隣の人”というクロマチックハーモニカを使いたいと思った曲があり、ブルースハープとクロマチックハーモニカとでは吹き方が全然違うので、がんばって練習したらくちびるが血だらけになってしまった思い出がある。

こんな風に私の中ではハーモニカは身近なものだ。唄のキーによってハーモニカは違ってくるので、なんだかんだ言ってハーモニカは10本ちかく持っている。知らないうちにたまってしまった。

いつかまたハモニカ横丁で飲んでみたい。

その時は「貴子」や「ささの葉」のおかみさん達は当然いないのかもしれないが、どこか空の上で笑っているような気がする。今日もハモニカ横丁はいろいろな人たちでごったがえしているのだろうな。

隣の人ライブ in 大久保水族館

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