熱帯夜

昨日くらいから異様に暑い。本当は井の頭公園に唄いに行くつもりだったのだが、朝の空気が妙に生ぬるいので、このまま唄いに行っても、ただ、ただ、暑さの中で唄うだけになってしまいそうなので止めた。この歳になると自分の体力がどれだけあるのかということもなんとなくわかるので、無理して唄いに行って熱中症にかかってしまったら元も子もないので、安全安心に一日家の中で冷房をかけて過ごした。

今、こうしている内も冷房をかけているのだが、冷房は便利だ。冷房が無かったらどうなっているのだろう?とも思うのだが、若い頃は冷房が無かった。笑 最近は夜中、冷房が切れて部屋が暑くなり目が覚めてしまうことが度々(たびたび)あるのだが、若い頃は翌朝までずっと暑いままで、よどんだ空気の中眠れずに過ごしたものだ。

こういう夜を熱帯夜と言うのだが、なぜこんな熱帯夜の話をしたかと言うと、何年か前に音楽配信業者に依頼した「月」というアルバム作品を、今まではダウンロード販売だけに限定していたのだが、今回ストリーミングで配信することにしたので、それに合わせる形で、この「月」の最初に入っている”熱帯夜”と言う曲の動画を作ったのであった。

「月」という作品には10曲入っていて、その10曲の内あえてこの”熱帯夜”という唄を動画にしようと考えたのは、いままで3曲ほど、力を入れて作った動画があるのだが、その動画がある曲は、やはり動画が無い曲に比べると、アクセス数が多いと言うデータが出て来ていたので、このストリーミング配信を始めるのに合わせて1曲だけ動画を作ろうと思い、この暑い時期にあった”熱帯夜”という曲を選んだのであった。またfacebookだったかTik Tokで結構使われる曲でもあって、データ的にもこの曲をこの時期に動画として制作するというのは自分の頭の中では理にかなったことでもあったのである。

なぜ、今まであれだけ拒んで来たストリーミング配信をしようと考えた話は、また後ですることにして、今回はこの”熱帯夜”の動画について話をしてみよう。基になっている曲はもう自分が二十歳そこそこの時に思いついた曲で、そこから何十年、ああでもないこうでもないと、試行錯誤を繰り返し出来上がっている曲で、ブクブク・・・ブクブク・・・水の音がずっと流れている上にシタールのような音に合わせてメロディーがあるだけという形になっている。簡単な曲に思われるかもしれないが、実は何度も壁にぶつかって、いろいろな暗中模索をした中で見つけた曲で、西洋的なリズムが無い曲でもあって、はたしてこれが万人受けするかどうかはわからなかったのだが、自分の頭の中に思いついたものを正直に吐き出した曲だ。

この曲にどんな動画を作ろうかと考えたのだが、最初思い浮かんだのは、昔、浅草寺の仲見世で買ったキツネのお面が家にあったので、これを使おうと思ったのだった。キツネのお面をかぶり、”船”という曲の動画で着た着物を着て、座布団の上に正座してエレキギターを弾く形にしようと考えた。悪乗りして、ギターのピックの代わりにご飯をよそうシャモジを使うことにした。笑 唄のところもそのまま正座して目をつぶる形にして、同じ画面ばかりだと飽きるので、近くの神社に浴衣でも着て行って、線香花火をしている画像を撮ろうかとも考えたのだが、神社に撮影の許可とかもらわないといけないだろうなと思い、さすがにこれは諦(あきら)めた。

この曲の目玉、仏壇でチーン!する打楽器の音のところは、お面をかけて、着物ではなく、”友達が欲しいよ”の動画で着たチャンチャンコを羽織って、背景も黒背景で撮ってみた。ギター演奏部分は白背景、仏壇でチーン!部分は黒背景と、白と黒のコントラストも対照的になるよう考えた。最後飽きるので、扇子(せんす)を仰ぐ別カットも撮ってみた。

ただ現実は、自分が思い描くような形にはどうしてもならず、まず家が狭いので、カメラに自分の全体像が撮れないのだ。正座している姿全体を撮りたいのだが、上半身だけのような形になってしまい、次に、着物の帯の締(し)め方がわからず、なんだかだらしない身なりになっていて、唄っている自分の顔も二重あごになっているし、髪の毛がボサボサになっていて、撮影前に床屋に行っておけば良かったと思い、あらためて撮影しなおそうかとも思ったのだが、そんなプロの芸能人じゃないんだから、これはこれで今ある自分のすべてなんだと思い、そのまま編集作業を続けたのであった。笑 

そうこうしている内に、動画はまとめ上がったのだが、まとめ上がった動画をはじめてみてみると結構面白いと言おうか、素人くさいのだが、素人なりのなんだか怪しげな雰囲気が出てたりなんかして、今では自分なりに気に入ってたりもする。笑

暑くて眠れない夏の夜。そう昨日、一昨日の夜のような熱帯夜。そして今夜もそうなるであろう熱帯夜。冷房のかけ過ぎで体が冷えた時にでもこの動画を見てみませんか?夜中にキツネが化けて出て来るやもしれません。

”熱帯夜”ぜひ聴いて下さい。作品「月」1曲目です。また、2曲目以降もいろいろな曲が入っているので聴いてみませんか!?ストリーミングで無料で聴けますよ。よろしくお願いいたします。

オリジナルソング。ダウンロード販売中。試聴も充実!聴いてみませんか!?気に入っていただけるようであれば、paypal決済でお買い上げできます。

音楽配信やってます。spotify、アップルミュージック、ユーチューブミュージック、ラインミュージック、アマゾンミュージック等でも聴けます。作品を通して聴いていただくのが一番のお勧(すす)めです。CDも販売中。

1曲目

前回も書いたのだが、今、かつてギター、ピアノ弾き語りで唄って来た曲をドラムやベースなども入れた完成形を制作している。ギター弾き語り「YUKIO」に入っている15曲の内の14曲と、ピアノ弾き語り「YUKIO PIANO」に入っている13曲、それと今までバンド形態で制作してきた作品の中からもれた2曲の合わせて計29曲を完成させようというのだ。結構大変である。

ギター弾き語りの残りの1曲は、もう完成されていて、まだ公(おおやけ)にしていないが、次の作品の中にバンド形態として入っている。今回の29曲を完成させれば、私の青春時代から45歳過ぎの老年手前までに創ってきた唄たちを全部完成させたということになる。この作業が済(す)めば、もうほとんどこの世に生まれて来てやり残してしまったと後悔しそうなものも無くなるような気がして、肩の荷(に)も降りそうだ。(笑)

さて、この29曲をどうまとめるか?前からずっと考えていた。自分とすれば1曲1曲を無料(ただ)でネット上でストリーミングで聴いてもらうという気はサラサラ無く、やはり作品としてまとめたい、が、しかし、29曲を詰(つ)め込んでしまうと、最初から最後まで聴くには3時間近くかかってしまう。今までの私の5作品も結構長くて、1時間を超える作品ばかりで、直近の「月」という作品が一番短くて、それでも50分強ある。(笑)

3枚組の大作(たいさく)を作って驚かせる手もあるのだが、そういうことができるのは何をやってもついてくるファンがたくさんいる人であればいいのだろうが、私のようなファンもいない歌手がそんなことやっても誰も聴いてくれないので、1作品45分前後の3作品に分けることにした。45分くらいであれば昔のLPレコードやカセットテープみたいで丁度(ちょうど)いい気がするのだ。ただ適当に29曲を3作品に振り分けるのでは面白くないと言おうか、やはり一つ一つの作品にはコンセプト(共通の概念)を持たせた方がいいと思い、ちゃんと最初から最後まで曲がスムーズに流れるように、曲順を先週はああでもない、こうでもないと決めていたのだった。

今までの作品は、「月」以外は、基本唄が思い浮かんだ順で並べてあって、ギター弾き語り作品も、ピアノ弾き語り作品も古い順に並べてあるので、今回すべてを一旦(いったん)分け隔てなく混ぜ合わせて、あらためて3つに仕分けしてみたのだった。

そこで気づいたのは1曲目の大切さということだ。まず最初の1曲目を、聴いてる人が面白いと思ってもらわない限りは、それ以降は聴いてもらえないことになる。5曲目や6曲目にいい曲が入っていると主張しても、1曲目を気に入ってもらえなければ、意味がなくなってしまう・・・。

子供の頃に、どんな有名歌手もアルバム1曲目は自分の1番売れそうな曲を持って来て、あとは結構(けっこう)手抜きの曲が並んでいると聞いたことがある。(笑)そう思うと、今まで自分の5作品の1曲目をどの曲にして来たか振り返ってみた。ただ単に古い順ということもあるのだが、1曲目にしたという理由はそれなりにあったような気がする。

ギター弾き語り「YUKIO」1曲目は”たまご”という唄だ。昔、学生時代に創った曲で、他にもいろいろ作ったのだがろくでもないものばかりで、唯一(ゆいいつ)これはいけるかな?と思った曲だ。創った当初は”気まぐれ風子”という曲名だったのだが、歌詞が気にくわず、”気まぐれタンゴ”という歌詞にして若い頃は唄ったりもしたのだが、やはり気にくわず、とうとう最後”たまご”という歌詞にして落ち着いた。(笑)なぜ、こんなに右往左往(うおうさおう)したかと言うと、間奏部分がどうにもはっきりしないと言うか解決できなくて、悩んでしまったのであった。

ピアノ弾き語り「YUKIO PAINO」の方の1曲目は”音楽になりたい”という唄で、こちらははじめてピアノで創った曲だ。この曲も間奏部分がわからず、何十年も悩み続けてようやくわかって「YUKIO PIANO」の最初に入れたのであった。間奏はディミニッシュをそのまま豪快(ごうかい)に入れている。(笑)どんなもんでぃ!笑うなら笑ってくれい!(笑)知り合いのピアニストの人とかにも、この曲を聴いてもらって、相談もしたのだが、散々、吉祥寺の呑(の)み屋で馬鹿にされ、けなされたのだが、高田渡がかつて通っていたという赤ちょうちんのママさんだけは、”いいじゃない!”と言ってくれた。(笑)そのママさんも癌(がん)で亡くなったという。寂しい限りだ。この曲はディミニッシュだけではなくて色々な仕掛(しか)けがあって、複雑で、前にこのブログでも多少自己解説したのだが、今回はもう面倒くさいのでここまでにしておく。(笑)

バンド形態「COCOLO」の最初の曲は、この作品のタイトル名にもなっている”COCOLO”という曲だ。この曲は今まで自分で創って来た曲の中で一番優(すぐ)れた曲だと自身では思っている。とりとめのないメロディーが最初ちょこっとあって、あとは延々ピアノソロのようなものが続いていくだけで終わっていく。わけのわからないピアノソロ・・・、適当に弾きやがって!下手(へた)くそ!と、まあ、普通はそう思われるのでしょうが、ところがどっこい!適当にこの曲を弾いているわけではないのだ。実は曲のアタマからフェードアウトしていく最後まで、ちゃんとした規則にのっとって演奏してるのであって、気まぐれにフリーで演奏しているわけではない!と、このことだけは言っておきたい。誰もわかってくれないが。(笑)

次のバンド形態作品「太陽」1曲目は”結露(けつろ)”という、こちらは唄のないインストの曲でこの作品は始まっている。打ち込みのキックを強調しようと、低音を出すプラグインを使っていたりする。音楽的には、ひとつのアルペジオ風のメロディーが流れていて、繰り返されるごとに、それが徐々に変化していく形になっている。短い曲だ。ディスクユニオンにCDを置いてくれないかと交渉したのだが、担当の人から、ウチとはこうした曲は傾向が違いますからとかなんとか言われて、適当にあしらわれたのだが、ではディスクユニオンの傾向というのはどんなものなのだよ!?と言いがかりもつけたくなると言おうか、どうせロックだとかポップなものしか聴いてないんだろう!と腹わたが煮えくりかえってしまった記憶もある。(笑)

1年前に作った「月」という作品1曲目は”熱帯夜”という曲で、これも古い唄で、昔は”熱体夜”という曲名にしていたのだが、演奏するたびに、漢字が違う!!”体”じゃなくて”帯”だ”帯”!!と言われ続け、わざとそうしてるんだ!と主張するのだが、馬鹿(ばか)扱いされてしまい、とうとう今回自分の方が折(お)れてしまって”熱帯夜”という漢字で正式につくったのだった。(笑)音楽的には、こちらも難しい唄でリズムが無いと言おうか、リズムの代わりに水流の音を後ろに使っている。

このように今まで創って来た作品の1曲目を、なんだかおもしろおかしく振り返ってしまったが、(笑)私の場合、1曲目をあえて万人(ばんにん)受けするような曲をはずしているような気がしないでもない。と言おうか、万人(ばんにん)受けするような唄がそもそもないと言ってしまえばそれまでなのだが、(笑)もう少し音楽的に単純な曲を1曲目に持ってきてもよかった気もする。しかし、例えそうしたところで結果がなにか違ったと言おうか、ディスクユニオンの担当者が「この曲いいね!ウチで置いてあげるよ。」と言ってくれたとも思えないのである。まあいいか。(笑)

さて、今回の3作品の1曲目を何にするかと言うと・・・、それはまだ内緒なのであった。(笑)

音楽配信中

熱帯夜

今日も暑い・・・、暑い日が続く。最近はもう朝まで一晩中クーラーをつけっぱなしにしていて、こんなことは今まで無かったことのように思う。最近の夏の暑さは昔とは違って何か狂気が混じっていると言おうか、子供の頃の夏も暑かったが田舎に住んでいたせいかどこかのどかだった。大人になってお盆に田舎から戻ってくる時、東京駅で新幹線を降りた途端、湿気を含んだムッとした空気がまとわりついてきて、これが※ヒートアイランド現象なのかな?と思ったりもしているうちに中央線に乗り換えると車内は別世界のようにすごく涼し気なクーラーが効(き)いていて、乗車してくる女性たちの田舎では見ないようなお洒落で色鮮やかな半袖のブラウス姿なんかを眺めていると、あらためて自分が大都会に住んでるのだなと実感するのであった。

※ヒートアイランド現象 都市の気温が周囲よりも高くなる現象のこと

昔はお盆に田舎に帰るとかつてはクーラーが好きか?嫌いか?で会話がはずんだりもしたものだが、最近は田舎、都会あるいは好きも嫌いも関係なく否応が無しにクーラーをつけないと生きていけない暑さになってきているような気がする。現に今日も朝からクーラーをつけっぱなしだ。

しかしながら、こんな私でも田舎から出てきた若い頃はクーラーどころか扇風機も持たない生活を夏に何年も過ごしているのだった。(笑)ついでに言うとストーブすらない冬も何年もあった。(笑)貧乏学生だったのである。(笑)

扇風機もない熱帯夜を安アパートの中どう暮らすのか?窓も開けっぱなしにしても寝れるわけがなくて、涼みに外の公園に行くのであった。真夜中の公園は当然真っ暗で外灯の明りだけが頼りで、明りの周りには蛾(が)やカナブンが飛んでいた。その当時そんな都会に住んでいたわけではなかったので小さな公園にはカップルがイチャイチャしていることもなく巡回してくるお巡りさんに注意されることもなかった。一人ベンチに座って目の前にある暗闇を眺めたのだった。

ある夏の真夜中、そうすると何かそこに生き物の気配が感じられた。目を凝らすと黄色や赤の縞(しま)模様の熱帯魚が現れ始めた・・・。トロピカルな魚だ。目の前をゆっくりと泳いで行く。海やプールで水中に潜り込んだ時に聞こえる”ブク、ブク、ブク・・・”という音が、そう確か夏休み少年の頃、床屋さんで髪を切るのに待たされて漫画を読んでいた時に横にあった水槽の音が聞こえる。

そしてどこからか”チーン”という音がぬるい空気の風に乗って鳴っている。なんだろうこの音?静かな音・・・。仏壇の音だ。仏壇の”チーン”する音だ。闇の先で誰かが”チーン”してる。風鈴の音かもしれない。合わせて唄ってみよう・・・。

水の中でもないのに、よどんだ空気の中を綺麗な魚が泳いでいる。その内消えた。

若い頃の儚(はかな)い夢。真夏の「熱帯夜」。作品「月」1曲目に入ってます。聴いてみませんか?音楽配信中

視覚イメージがちょっと違っていますが・・・、熱帯夜ダイジェスト