ミクソリディアン”魔法のほうき”

最近は自分の身(み)の上(うえ)の与太話(よたばなし)ばかりだったので、久しぶりに自分の音楽の話をしてみよう。このブログはYUKIO音楽のプロモーションのために書いているので、なにか気に入った内容でもあれば、私のオリジナル曲を聴いていただき、おもしろいと思ったら、ぜひお買い上げいかがなものでしょうか?お待ちしております。(笑)

さて、今回は私の「cocolo」というアルバム作品の10曲目に入っている”魔法のほうき”という唄の自己解説をしようと思うのだ。自分で自身の唄を自己解説しないといけないというのは、なかなか辛(つら)いと言うか、売れない歌手というのは、世間(せけん)に身(み)の置き場がないと言おうか、悲しいものがあるのだが、(笑)がんばって解説してみようと思う。

まず、音楽的に言うと、ズバリ!”魔法のほうき”はミクソリディアン一発で出来上がっているという曲なのである。ミクソリディアンという聞きなれない言葉が出て来た・・・。音楽をやらない方にとっては、ちょっと難しい話になるが、暫(しばら)く辛抱(しんぼう)いただいて、簡単に解説(かいせつ)すると、誰もが小学生の時、音楽の時間に最初に習う、ドレミファソラシドという音階があると思うのだが、ミクソリディアンというのは、そのソから始まる音階のことを言う。すなわち、ソラシドレミファソだ。

ドレミファソラシドの音の間を鍵盤(けんばん)で見てみると、ドとレ、ミ、そしてファソラシの間は全音、ミとファ、シとドの間は半音間隔(間に黒鍵をはさんでいない)になっている。ドレミファソラシドは全全半全全全半という音階なのだ。それに対してミクソリディアンはソラシドレミファソ、全全半全全半全になっていて後半2つが微妙に違っている。

この2つの音程差が違っているだけで、全然曲のイメージというのが違って来たりする。日本語の歌だと、ほとんどがドレミファソラシドが基本になっているのだが、世界は広くて、こうしたソラシドレミファソだけでなく、レからはじまる音階やミからはじまる音階の曲とかもあるのだ。

レからはじまる音階レミファソラシドレをドリアン、ミからはじまる音階ミファソラシドレミをフリジアン、ファからだとリディアン、ラからだとエオリアン、シからはロクリアンと呼ばれていて、これらの音階はドレミファソラシドとは微妙(びみょう)に違っていて、こうした音階を内包する曲はドレミファソラシドの曲調とは違って、なんだかちょっとエキゾチックな雰囲気が漂ってくるような曲になる。

ジャズではこうした音階を使うことをモード奏法と言っていて、モード奏法を最初にやったのはマイルス・デイビスと言われている。その代表曲は”ソーホワット”という曲で全編ドリアンで音が動いていて、自分が若い頃、マイルス・デイビスが好きだったので、そうした影響もあってか”魔法のほうき”はモードで出来上がっているのであった。(笑)ただしこちらはドリアンではなくてミクソリディアンになっている。

ミクソリディアンに関しては、ドリアンに比べて、みなさん知らない内に使っているという音階でもある。ここからはもう少し難しい話になってくるが、ドレミファソラシド上にできる(※1.)コード(和音)、C,Dm,Em,F,G,Am,Bm(♭5)の中で(※2.)基本3コードと呼ばれる(※3.)C(トニック)、F(サブドミナント)、G(ドミナント)の3つの内のG(ドミナント)で、その曲が(※4.)ダイアトニックで動いている場合、自然とそこはミクソリディアンで動いているからだ。

※1.
C-ド、ミ、ソ のことを言う(以下同じ)-Ⅰ
Dm-レ、ファ、ラ-Ⅱm
Em-ミ、ソ、シ-Ⅲm
F-ファ、ラ、ド-Ⅳ
G-ソ、シ、レ-Ⅴ
Am-ラ、ド、ミ-Ⅵm
Bm(♭5)-シ、レ、ファ-Ⅶm(♭5)
※2.
3コード-Ⅰ・Ⅳ・Ⅴのコードを特に主要三和音と呼びます 強いつながりがある
※3.
トニック-和名「主和音」。Ⅰ 強い安定感を持つ。
サブドミナント-和名「下属和音」。Ⅳ ドミナントほどではないが、不安定な響き。
ドミナント-和名「属和音」。Ⅴ 不安定な響きで、早くトニックに帰結したくなる。
※4.
ダイアトニック-ダイアトニックスケールのこと ここではドレミファソラシド 全全半全全全半 

”魔法のほうき”のミクソリディアンの使い方はそうでは無くて、(※5.)トニック上からすでにミクソリディアンを使っていて、曲の構成上、トニックとサブドミナント2つしかないのだが、トニックだろうがサブドミナントだろうが、唄の間(あいだ)中、ずっとミクソリディアンが動いて行くだけになっている。こんな曲なかなか無いぞ~。(笑)たぶん日本語の唄には無いと思う。(笑)なんでこんな誰にも見向きもされない唄創っちゃったんだろうな。(笑)

※5.
西洋音楽にはキーという概念(がいねん)があって、ピアノの鍵盤で”ドレミファソラシ”の間には黒鍵白鍵合わせて12種の音がありますが、それだけ分の高さのキーあるいは調があるということです。
”魔法のほうき”はキーがF(へ長調)となっていて、Fのダイアトニックスケールはファからはじまる全全半全全全半-ファソラ♭シドレミファなのですが(普通の曲は大体こうなっている)、ミクソリディアン全全半全全半全-ファソラ♭シドレ♭ミファで動いているということを言いたいわけです。(笑)
赤丸をつけたところがFミクソリディアン。”魔法のほうき”はこの音階上で動いている。

昔、ブルースバーでブルースはミクソリディアンだと言われたことがあるが、ちょっと違っているというか、確かに(※6.)トニック上で♭7thを黒人音楽のブルースは使うのだが、ブルースの真骨頂(しんこっちょう)は唄が3度と5度で微妙に下がるのが魅力なのであって、モードのミクソリディアンとは全然関係が無いと思っている。

※6.
黒人音楽のブルースは白人の西洋音楽の基本ドレミファソラシドで動いているわけではなく、”魔法のほうき”もトニックⅠ「主和音」上でミクソリディアンで動いているのでコードで言えばⅠ(♭7)-キーがC(ハ長調)であれば、ド(1度)、ミ(3度)、ソ(5度)、♭シ(♭7度)-となっていて、ブルースもトニックがⅠ(♭7)なので同じと言っていいのだが、ブルースの場合はミ(3度)とソ(5度)が落っこちるところに魅力があるとここでは言いたかったわけですね。(笑)説明が難しいな。理屈っぽい。女の子から嫌われそう・・・。(笑)

話がそれた。この曲は唄の部分は全編ミクソリディアンで動いて行くが、もうひとひねりしてあって、前奏部分だったか、唄が終わったあとの部分だったか、もう忘れてしまったが、どちらかで、ミクソリディアンとはまた違ったスケール(音階)を使っていたりもする。確かリディアンだったと思うが・・・。

音楽的な難しい話はここまでにしておいて、ここからは歌詞の説明をしようと思う。”魔法のほうき”の”ほうき”は実はダブルミーニング(二重の意味)になっていて、お掃除(そうじ)道具の”箒(ほうき)”と廃棄(はいき)する”放棄(ほうき)”の2つを重ねていて、最初どちらにしようかと迷ったのだが、決めかねて、ひらがなの”ほうき”にしたのであった。

曲を創っていると、自分の世界に閉じこもるので、だんだん目線がお高くなると言おうか、世界が自分中心で回っているような感覚になってくる。自分も含めて、そうした自称アーティストさん達を世の中でいっぱい見て来た。それを戒(いまし)めようと思って創った歌詞だ。

知らない内に創造主である自分という存在が特別のように思ってしまうのだ。歳と共に気づかない内に出て来る下っ腹(したっぱら)のように。(笑)それを阻止(そし)するにはどうすればいいのか?

それは、がんじがらめになったそうした思考すべてを”放棄(ほうき)”して、整理整頓もない汚くなった自分一人しかいない部屋(あるいは頭)を”箒(ほうき)”で綺麗に自身で汗をかいて掃除(そうじ)すればいいよと唄ったのであった。それが自分にとっては魔法なのだ。無いものねだりの高尚(こうしょう)な空想物を作るより、下世話なお隣さんの噂話をしているが、ちゃんと飯(めし)が喰えていることの方が、人間的だと言おうか、えらい気がするように歳(とし)と共に思えるようになったからであった。

やはり人間、どんなに優秀な理屈を机上(きじょう)でこねようと、他人(ひと)の陰口(かげぐち)を叩(たた)こうが何しようが、現場で汗をかいている奴が一番偉いのだ。だから、こうして世間から見向きもされないこの曲を、馬鹿にされようが、無視されようが、プライドを捨てて、自分は今日も恥ずかしげもなく自己解説するのであった。頭を下げて、営業しなきゃ。

”魔法のほうき”(「cocolo」10曲目です。)聴いてみませんか!?

”魔法のほうき”ダイジェスト

こちら下は、”魔法のほうき”ライブになっております。ダイジェストの方に比べて音のバランスはかなり悪いですが、全編聴けます。上の説明のどこかに少しでも理解できるものがあれば、あなたの心の中で何か新しい発見があるかもしれません!聴いてみませんか!?今回、難しかったので、鍵盤の図解もまじえて後記(こうき)してみました。この曲があなたに届くように、できるだけ簡単に説明しようと努力したつもりです。(笑)

”魔法のほうき”ライブ

ぜひ、聴いてみませんか!?そして気に入っていただけるようであれば、今風ではなく、格好悪い言い方ですけど買ってください。宜しくお願い致します。

音楽配信中。

ティファニーでクリシェはいかが?

最近どうでもいいことばかり、日常の事をブログで書いて来たので久しぶりに音楽解析(かいせき)を書いてみたいと思います。楽器をやらない人ご免なさい。

今回はクリシェの話をしようと思います。クリシェとはなんぞやといいますと。。。どうやらフランス語らしい、、、。が、今回は音楽用語的に、同じコードでトップノートが半音で下がったり上がったりするちょっとお洒落な進行です。

私も何曲かクリシェを使って唄を創っていたりします。ただ3コードで唄を作っていると飽きちゃうのでたまにはクリシェを使ってアクセントをつけたりするのです。

有名どころではスティービーワンダーの”I just called to say I love you”とかで使われていたりとかします。コード進行的には○m→○mmaj7→○m7→○mmaj7こうなってます。

もうひとつ、有名なのかどうか?わかりませんがレニークラヴィッツの”It Ain’t Over ‘Til It’s Over”という曲で○→○maj7→○7 進行で、この進行ライブハウスやライブバーで唄っていると、対バンの人が結構この進行を使っていたりしてレニークラヴィッツがいかに当時、影響力があったかわかるものでした。しかし、さすがに最近はこの進行も時代遅れになってきたみたいで余り最近は聞くこともなくなりました。

実はこのスティービーワンダーとレニークラヴィッツのクリシェ進行を2つ使っている自分の曲があるのだな~♪クリシェだらけで動くのですがただ単にパクっているわけでなくて、リズムがサンバ調になっているのです。ここが自分らしいかなと思ってます。(笑)

カーニバルという曲でギターの弾き語りだけではリズムがよくわからないと思いますがオリジナルのサンバなのです。(笑)おまえはマツケンサンバか!と言われそうなのですが、マツケンサンバよりもかなり本格的ですよ~。(笑)

誰も観てくれないけど、フルアコ弾き語りの動画よりさらにコアなガットギター弾き語りのオリジナルサンバも動画でありま~す♪下記参照

このようにクリシェというのはけっこうお洒落な感じになったりします。

ジャズでも”my funny valentine “とかクリシェで、マイルスデイビスのバックで弾いているハービーハンコックなんかもの凄いお洒落なピアノ演奏をしていて、ニューヨークに行ったことも無いのに行ったような気分にもなります。(笑)

前にも書いたことのある名前は忘れたんですけどアメリカのジャズ界で成功したなんとかさんが「モダンジャズの真実」とかいう本でデューク・エリントン(ジャズピアニスト、作曲家。ジャズの王道であり革新者でもある。)はテンション(テンションノートのこと。ドミソが協和音だとすれば不協和音を指す。しかしテンションが無いジャズなど無い。詳しくはウイキペディア参照)がクリシェしていると書いていた。

テンションがクリシェ!?

そりゃテンションだってクリシェするよな~。日本人の私としては考えたこともなかった。

スゲェ~な。

と思った次第でした。このブログを読んで下さってる音楽好きのみなさんもクリシェをたまに使ってみると良いですよ。ちょっとしたアクセントになります。何分

お洒落(しゃれ)ですから。(笑)音楽配信

味噌ラーメン屋の夜

先日夜、久しぶりに近所の味噌ラーメン屋さんに行ってきた。家に居場所がなくなると外に出て馴染(なじみ)の店長がいれば世間話(せけんばなし)をしてくるラーメン屋だ。その日店長はいなかった。余りに早い時間帯に行き過ぎたのかもしれない。まだ家族連れのお客さんがいたりして店は混んでいた。夜遅くに行くと、結構この人たちどんな関係なんだろう?といったカップルや仕事上がりかなんかの近所のタクシー会社の運ちゃんがラーメンをすすってたりする。

いつものようにビールだけ先に持ってきてもらって、モヤシをつまみに何週間か前発売のちょっと古い週刊文春を読み始めた。こうなるともう、いくらお店が混雑していようとも自分のモードに入ってしまい、暫(しばら)くその場でくつろぐことになる。(笑)

スマホが世間に広がって以来、ラーメンや食事の外食の待ち時間をスマホを見て時間をつぶす人たちばかりになったからだろうか、お店のカウンターの下には前は漫画やエロ本やあやしげな週刊誌がごちゃ混ぜになって置いてあったのだが最近は見なくなってしまった。幸(さいわ)いにしてこの味噌ラーメン屋にはかろうじて週刊文春と大人向けの漫画本とラーメンベスト100とかいう雑誌3冊が置いてある。

ビールをチビチビ飲みながら週刊文春のページをめくる。もう何を読んだのか忘れた。この手の週刊誌を自分で買ったことは一度もなく、いや、東京に戻る帰りの東海道新幹線の中ではいつも売店で週刊現代を買って柿の種(たね)をポリポリ喰いながら缶ビールを飲んで、読んで来たものだ。(笑)

週刊現代の方が巻頭のグラビアが多少エロいのだが、記事の内容は文春に比べてかなり薄い。たぶん読者層が違うのだと思う。現代は30~40代向け、文春は40~50向けといったような感じか。

いつもこの味噌ラーメン屋で読む週刊文春の中でお気に入りのページは小泉元総理の秘書だった飯島さんの直近の政治情勢を分析した記事である。飯島さん独自の視線があってつい読んでしまう。前はグーグル日本法人の社長さんだったなんとかさんの記事をいつもモヤシをつつきながら感心して読んでいた。

週刊文春を読んでいると一人自分の世界に閉じこもるので、周りが見えなくなってしまう。ただこういう時間が自分にとって必要なのだ。気づくと「ラウンドミッドナイト」がかかっていた。モンク(セロニアス・モンク ジャズピアニスト ラウンドミッドナイトの作者)が弾いているものではなくて、誰かがやっているものだ。そんなにジャズに詳しくない私でもわかる。死ぬほどいろいろな人間が「ラウンドミッドナイト」を演奏してると思うのだが、マイルス・デイビス好きの私はマイルスとコルトレーンがやっている「ラウンドミッドナイト」が一番好きだ。

最近のラーメン屋はBGMにジャズがかかっている。ちょっと検索で調べてみたのだが、ジャズをかける理由はそんなに根拠があるわけでもなくてただなんとなくお洒落(しゃれ)だからということだけらしい。しかし自分にとっては外食する時にはやはり自身がリラックスする音楽がかかっているお店を無意識の内に選んでいるのかもしれない。そう思ってしまった。

ここの味噌ラーメンも美味(うま)いが、BGMがジャズじゃなくて今の流行歌だったら、これほどまでこのお店に通っただろうか?たぶんそんなこともないような気がして、よく自分が行った外食のお店のBGMに何がかかっていたか思い出してみた。

お昼によく「やよい軒」という和食チェーン店さんに行った。「やよい軒」のBGMはやはりこの味噌ラーメン屋さんと同じモダンジャズだった。朝早くのドトールコーヒー(コーヒーチェーン店)でコーヒーを飲むのが好きだった。ドトールはいつも朝ボサノバ系がかかっている。歯医者の帰りにいつも寄るリトルマーメイドのパン屋(チェーン店)も朝ボサノバがかかっている。癒し系カフェ音楽というらしい。(笑)確かに癒された気分にもなる。

こう見ると自分が外食に行くお店のBGMにはやはり共通点があるように思う。BGMを馬鹿にしてはいけない。ただジャズやボサノバばかりだ。ジャズといってもスイングジャズやビバップ、フュージョンとかいろいろあるのだが、(現にドトールに夕方行くとフュージョンがかかっているような気がする。)自分が聴いて落ち着くのは電気を通してない生楽器のモダンジャズや女性の唄ものなのだ。別に自分はお洒落で格好いい人生を送ってきたつもりはないのだが、こうした音楽を聴くとついくつろいでしまう。

一日の波長もあるのかもしれない、朝から小難しいモダンジャズは聴きたくない。朝は軽くボサノバで聞き流したい。夜暗くなって、お酒が入ってようやくモダンジャズを聴きたくなるのだ。不思議と。

そんなこと考える内(うち)ふと気づくと、店内ではまた違った人間がやっている「ラウンドミッドナイト」がかかっていた。音もいいので天井(てんじょう)にかかっているスピーカーをよく見るとBOSEの結構高そうなやつだった。音にも見えないところでこだわっているのかもしれない。あわてて券を渡していた味噌ラーメンを持ってきてくれと頼み、急いで食べて帰って来た。馴染(なじみ)の店長さんがいないせいか出てきたラーメンはいつもと違って普通盛りだった。こちらの方が歳(とし)をとった自分のお腹(なか)には実は丁度(ちょうど)いい量なのだ。

いつも野菜を山盛りにしてくれて、チャーシューまでおまけしてくれる店長さんの親切心をあらためて感じた夜だった。店長さん元気なのかな?しばらく会ってないな。音楽配信