1曲目

前回も書いたのだが、今、かつてギター、ピアノ弾き語りで唄って来た曲をドラムやベースなども入れた完成形を制作している。ギター弾き語り「YUKIO」に入っている15曲の内の14曲と、ピアノ弾き語り「YUKIO PIANO」に入っている13曲、それと今までバンド形態で制作してきた作品の中からもれた2曲の合わせて計29曲を完成させようというのだ。結構大変である。

ギター弾き語りの残りの1曲は、もう完成されていて、まだ公(おおやけ)にしていないが、次の作品の中にバンド形態として入っている。今回の29曲を完成させれば、私の青春時代から45歳過ぎの老年手前までに創ってきた唄たちを全部完成させたということになる。この作業が済(す)めば、もうほとんどこの世に生まれて来てやり残してしまったと後悔しそうなものも無くなるような気がして、肩の荷(に)も降りそうだ。(笑)

さて、この29曲をどうまとめるか?前からずっと考えていた。自分とすれば1曲1曲を無料(ただ)でネット上でストリーミングで聴いてもらうという気はサラサラ無く、やはり作品としてまとめたい、が、しかし、29曲を詰(つ)め込んでしまうと、最初から最後まで聴くには3時間近くかかってしまう。今までの私の5作品も結構長くて、1時間を超える作品ばかりで、直近の「月」という作品が一番短くて、それでも50分強ある。(笑)

3枚組の大作(たいさく)を作って驚かせる手もあるのだが、そういうことができるのは何をやってもついてくるファンがたくさんいる人であればいいのだろうが、私のようなファンもいない歌手がそんなことやっても誰も聴いてくれないので、1作品45分前後の3作品に分けることにした。45分くらいであれば昔のLPレコードやカセットテープみたいで丁度(ちょうど)いい気がするのだ。ただ適当に29曲を3作品に振り分けるのでは面白くないと言おうか、やはり一つ一つの作品にはコンセプト(共通の概念)を持たせた方がいいと思い、ちゃんと最初から最後まで曲がスムーズに流れるように、曲順を先週はああでもない、こうでもないと決めていたのだった。

今までの作品は、「月」以外は、基本唄が思い浮かんだ順で並べてあって、ギター弾き語り作品も、ピアノ弾き語り作品も古い順に並べてあるので、今回すべてを一旦(いったん)分け隔てなく混ぜ合わせて、あらためて3つに仕分けしてみたのだった。

そこで気づいたのは1曲目の大切さということだ。まず最初の1曲目を、聴いてる人が面白いと思ってもらわない限りは、それ以降は聴いてもらえないことになる。5曲目や6曲目にいい曲が入っていると主張しても、1曲目を気に入ってもらえなければ、意味がなくなってしまう・・・。

子供の頃に、どんな有名歌手もアルバム1曲目は自分の1番売れそうな曲を持って来て、あとは結構(けっこう)手抜きの曲が並んでいると聞いたことがある。(笑)そう思うと、今まで自分の5作品の1曲目をどの曲にして来たか振り返ってみた。ただ単に古い順ということもあるのだが、1曲目にしたという理由はそれなりにあったような気がする。

ギター弾き語り「YUKIO」1曲目は”たまご”という唄だ。昔、学生時代に創った曲で、他にもいろいろ作ったのだがろくでもないものばかりで、唯一(ゆいいつ)これはいけるかな?と思った曲だ。創った当初は”気まぐれ風子”という曲名だったのだが、歌詞が気にくわず、”気まぐれタンゴ”という歌詞にして若い頃は唄ったりもしたのだが、やはり気にくわず、とうとう最後”たまご”という歌詞にして落ち着いた。(笑)なぜ、こんなに右往左往(うおうさおう)したかと言うと、間奏部分がどうにもはっきりしないと言うか解決できなくて、悩んでしまったのであった。

ピアノ弾き語り「YUKIO PAINO」の方の1曲目は”音楽になりたい”という唄で、こちらははじめてピアノで創った曲だ。この曲も間奏部分がわからず、何十年も悩み続けてようやくわかって「YUKIO PIANO」の最初に入れたのであった。間奏はディミニッシュをそのまま豪快(ごうかい)に入れている。(笑)どんなもんでぃ!笑うなら笑ってくれい!(笑)知り合いのピアニストの人とかにも、この曲を聴いてもらって、相談もしたのだが、散々、吉祥寺の呑(の)み屋で馬鹿にされ、けなされたのだが、高田渡がかつて通っていたという赤ちょうちんのママさんだけは、”いいじゃない!”と言ってくれた。(笑)そのママさんも癌(がん)で亡くなったという。寂しい限りだ。この曲はディミニッシュだけではなくて色々な仕掛(しか)けがあって、複雑で、前にこのブログでも多少自己解説したのだが、今回はもう面倒くさいのでここまでにしておく。(笑)

バンド形態「COCOLO」の最初の曲は、この作品のタイトル名にもなっている”COCOLO”という曲だ。この曲は今まで自分で創って来た曲の中で一番優(すぐ)れた曲だと自身では思っている。とりとめのないメロディーが最初ちょこっとあって、あとは延々ピアノソロのようなものが続いていくだけで終わっていく。わけのわからないピアノソロ・・・、適当に弾きやがって!下手(へた)くそ!と、まあ、普通はそう思われるのでしょうが、ところがどっこい!適当にこの曲を弾いているわけではないのだ。実は曲のアタマからフェードアウトしていく最後まで、ちゃんとした規則にのっとって演奏してるのであって、気まぐれにフリーで演奏しているわけではない!と、このことだけは言っておきたい。誰もわかってくれないが。(笑)

次のバンド形態作品「太陽」1曲目は”結露(けつろ)”という、こちらは唄のないインストの曲でこの作品は始まっている。打ち込みのキックを強調しようと、低音を出すプラグインを使っていたりする。音楽的には、ひとつのアルペジオ風のメロディーが流れていて、繰り返されるごとに、それが徐々に変化していく形になっている。短い曲だ。ディスクユニオンにCDを置いてくれないかと交渉したのだが、担当の人から、ウチとはこうした曲は傾向が違いますからとかなんとか言われて、適当にあしらわれたのだが、ではディスクユニオンの傾向というのはどんなものなのだよ!?と言いがかりもつけたくなると言おうか、どうせロックだとかポップなものしか聴いてないんだろう!と腹わたが煮えくりかえってしまった記憶もある。(笑)

1年前に作った「月」という作品1曲目は”熱帯夜”という曲で、これも古い唄で、昔は”熱体夜”という曲名にしていたのだが、演奏するたびに、漢字が違う!!”体”じゃなくて”帯”だ”帯”!!と言われ続け、わざとそうしてるんだ!と主張するのだが、馬鹿(ばか)扱いされてしまい、とうとう今回自分の方が折(お)れてしまって”熱帯夜”という漢字で正式につくったのだった。(笑)音楽的には、こちらも難しい唄でリズムが無いと言おうか、リズムの代わりに水流の音を後ろに使っている。

このように今まで創って来た作品の1曲目を、なんだかおもしろおかしく振り返ってしまったが、(笑)私の場合、1曲目をあえて万人(ばんにん)受けするような曲をはずしているような気がしないでもない。と言おうか、万人(ばんにん)受けするような唄がそもそもないと言ってしまえばそれまでなのだが、(笑)もう少し音楽的に単純な曲を1曲目に持ってきてもよかった気もする。しかし、例えそうしたところで結果がなにか違ったと言おうか、ディスクユニオンの担当者が「この曲いいね!ウチで置いてあげるよ。」と言ってくれたとも思えないのである。まあいいか。(笑)

さて、今回の3作品の1曲目を何にするかと言うと・・・、それはまだ内緒なのであった。(笑)

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唄は自由だ。唄は”cocolo”の中にある

私の唄の中で「cocolo」という曲があります。3作目の作品のタイトル名にもなっていまして自分の中では今まで創って来た中で一番大切にしている唄です。ただ曲名を考えた時どうしようかと思いまして、自分の内面の一番核になっているものを表現したつもりなのですが言葉でどう表そうかと悩みました。

素直に日本語のひらがなで”こころ”、あるいは漢字で”心”でも良かったのですが楽曲そのものがこの曲で今までの自分のリズム感になかった洋風な感じになったので敢えてアルファベットで”cocolo”と使ってみました。”kokoro”や”kokolo”でもいいのでしょうけど、雰囲気が何となく”cocolo”という感じでフィットしたのです。

「cocolo」を英語で訳すのも上手く表現できなくて、ただ単に”heart”だと寂しいし”my heart”でもいいのでしょうけど、元々黒人音楽に影響を受けているので”heart”ではなくて”soul”だろうと考えて”my soul”と訳そうかなと一瞬思ったりもしたのですが、曲調が”soul”というよりもクールな感じなので結局自分のホームページでは”my heart,my soul and my blue”という英訳名で載せています。

それほどこの曲はつかみどころのない感じになっていまして、唄があってそのあとは延々楽器だけの演奏になっています。起承転結(きしょうてんけつ)をまったく無視!(笑)けどいいのです。私の頭にはこう聞こえて来たんですから。

音楽的な詳しいことを言っても仕方がありません。ぜひ聴いてみませんか!?こんな唄が世界にもあるのですよ。こんな変な唄に人生を賭けた人間もいるのですよ。

唄は自由だ。唄は”cocolo”の中にある。音楽配信